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2011年11月24日 (木)

クイーン重箱の隅アルバムガイド「イニュエンドウ」

Innuendo(邦題『イニュエンドウ』) 1991年発売

Innuendo

犬・遠藤ではありません。

tracks:
1. Innuendo
2. I'm Going Slightly Mad
3. Headlong
4. I Can't Live With You
5. Don't Try So Hard
6. Ride The Wild Wind
7. All God's People
8. These Are The Days Of Our Lives
9. Delilah
10. The Hitman
11. Bijou
12. The Show Must Go On

bonus EP:
13. I Can't Live With You (1997 retake)
14. Lost Opportunity (B-side)
15. Ride The Wild Wind (early version with guide vocal)
16. I'm Going Slightly Mad (Mad mix)
17. Headlong (embryo with guide vocal)

私にとっては楽しく聴けるアルバムではありません。「後悔」。このアルバムで思い出すのはいつもこの単語です。そんなこともあって長編になってしまいました。しばしおつきあいをお願いします。

このアルバムが発売('91年1月)された頃、私は関わっていたプロジェクトが火を噴いていて心身ともに疲労の極地。音楽を聴く時間も体力もありませんでした。このアルバムも買いはしたものの、あまりにもシンセ多用で練り込まれてないアレンジとフレディの声への過剰なリバーヴ、そして何よりクイーンらしいけたたましさが欠けているのになじめず、繰り返し聞くことはありませんでした。ビデオクリップも見ることはありませんでした。

それでも一応情報だけはチェックしていました。その年の春、珍しく「ロッキング・オン」の表紙にクイーンが載った号でのインタビュー記事(応えたのはロジャーとブライアンだったかな)を読むと、

  • ハリウッドレコードと北米地区での新たな配給契約を結ぶ。
  • クイーンにとって初めてのリマスターCDが発売。
  • フレディがやる気満々で、そのため最近の彼らにしては短いインターバルで新作が完成した(当初は前作より1年半後の'90年11月リリース予定でした。私も11月発売という店頭広告を見た記憶があります)
  • さらにフレディは、すでに新曲4曲分のヴォーカル・トラックを仕上げている

とあって「お、これは久々にツアーをやるかもな」思ったものです。今思うとそれら(下線部)はすべて、ある事実のInnuendoだったのですが。

秋になって妙な噂を聞きます。「フレディがエイズで深刻な状況らしい」。私は、そんな出来すぎた話があるわけない、どうせタブロイド紙お得意のゴシップだろうと高をくくっていました。ちょうどこの頃、クイーンにとって2枚目のベスト盤 "Greatest Hits II"が発売されました。そのブックレットの写真を見て、私は目を疑いました。

Freddie_1991

この痩せ細ったフレディを見て、私はただ事でないことが起きているのを悟ります。あわててビデオクリップを見ると

Innuendo  メンバーの実写映像なし
I'm Going Slightly Mad  白黒映像でフレディの顔色が分からないが、妙に痩せている
Headlong  多くのシーンはスタジオの操作卓前で立っているだけ

悪い予感が高まります。ここで初めて歌詞を精読してみて、血の気が引きました。

I'm going slightly mad
It finally happened

僕は少しずつ狂っていってる
ついに起きたんだ
 (訳注 発症したんだ、と取れる)
- I'm Going Slightly Mad

You can't turn back the clock
You can't turn back the tide
Ain't that a shame
I'd like to go back one time on a roller coaster ride
When life was just a game

時間というものは元に戻せやしないもの
なんてこったろう
ジェットコースターに乗って
人生がただのゲームだった頃に一度は戻りたいんだけどな

- These Are The Days Of Our Lives

I guess I'm learning, I must be warmer now
I'll soon be turning, round the corner now
Outside the dawn is breaking
But inside in the dark I'm aching to be free!

The show must go on
The show must go on
Inside my heart is breaking
My make-up may be flaking
But my smile still stays on

だいたい分かってきたよ、答えに近づいてるに違いないと
そうしたらすぐに、僕は角を曲がって行ってしまんだ
外は夜が明けようとしているけれど
僕は闇の中で自由を切望しているんだ
 (訳注 achingは病の痛みとかけているように思える)

ショウは終わらない
ショウは終わらない
心が張り裂けそうだし
メイクもはがれ落ちそうだけれど
僕の微笑みは消えない

- The Show Must Go On

さらにフレディの愛猫への贈り物 "Delilah" に、殺し屋 "The Hitman" 、君と一緒には生きられない "I Can't Live With You" という曲名、そしてアルバムタイトルが"Innuendo" (当てこすり、ほのめかし、暗示)...。ちょっと待ってくれよ......。

もうこれは偶然なんかじゃない。このアルバムはフレディの生前葬だと理解しました。何故それを、自分はすぐに分からなかったんだ...こんなにあからさまなのに...。

1991年11月25日の夕刊でフレディの死を知ります。亡くなったのは、彼がエイズ感染を公表したすぐ翌日でした。記憶では、日本で彼の感染報道があったのは25日の朝刊だったと思います。そのあまりにもあっけない別れに涙も出ませんでした。私はアパートの一室で、彼に捧げて「神々の業」を口ずさんでいました。これが神様のすることですか、と無力な抗議を込めて。

 

Freddie Mercury  5 Sep. 1946 - 24 Nov. 1991

 

The Show Must Go On
1991年10月発売、つまりフレディ生前最後のシングル。もう新しい絵が撮れないため、過去のクリップの切り貼りで仕上げています。

These Are The Days Of Our Lives
'91年5月収録の、フレディ最後のクリップです。立ってるだけで精一杯だったそうです。


Innuendo (the F.M. Tribute)
フレディ追悼コンサートでのロバート・プラント。さてこのビデオ、いつ削除されるか。


KISS - Black Diamond - Animalize Tour - 1984 (Eric Carr On Vocals)
フレディと同じ日に亡くなった、キッスの二代目ドラマー、エリック・カー

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コメント

いつも見てます。
クイーンとFC東京の記事が読める、個人的に宝物のようなサイトです。眼福、眼福。
自分にとってのクイーンは「THE GAME」まででしたが
それではいかんなぁ、と思う今日この頃です。
(エアロスミスもいいなあ)

大熊さんの退任は、いざ決まるとほっとしたような寂しいような気持ちです。
もちろん肯定派なのですが。
とにかく、天皇杯も含めて最後まで走り切って欲しいものです

投稿: 33 | 2011年11月24日 (木) 15時11分

>33さん
拙サイトを宝物とまで言っていただき感激です!
エアロスミス東京公演もレポート予定ですので、また遊びに来てください。

投稿: thisiskwbr | 2011年11月24日 (木) 23時48分

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