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2017年1月18日 (水)

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」

スター・ウォーズ外伝が映画化されるのは、アニメで作られた「クローン・ウォーズ」に続いて2作目。ディズニーが権利を持ったこともあり、「クローン・ウォーズ」のようなわかりやすい観点で作られていると予想していたのだが、その予想を覆すとても重い映画だった。そしていろいろ考えることが生まれたので、2回見た。というわけで、そのいろいろ考えたことを書くことにする。


エピソード4の冒頭の例のスクロールでは、こう記されていた。

It is a period of civil war. Rebel spaceships, striking from a hidden base, have won their first victory against the evil Galactic Empire.

ところがこの「反乱軍最初の勝利」の戦いが実は計画されたものではなく、「反乱軍の中の反乱軍」がきっかけだったという設定を基にして「ローグ・ワン」は描かれている。これが実に意外で良いアイディアだった。そして監督の視線が、これまた良かった。

エピソード4から6は、戦争における善玉と悪玉をシンプルに設定して描かれていた。ヴェトナム戦争直後しぼんでいたアメリカ人の心にはまって商業的成功を収めるには、十分にあり得る手法だ。娯楽映画として実にハイレベルな作品、というか歴史上最高と言っていいんじゃない?

エピソード1から3は、パルパティンがヒトラーを彷彿させる手法で合法的に独裁軍事政権を作り上げる様と、元老院はもちろんジェダイ評議会の対応も決して適切ではなかったこと、それによってアナキンが板挟みになり暗黒面に落ちた理由の一つであることが描かれていた。ここでは民主主義を使い誤るとこうなるのだという政治的メッセージが込められてたと思う。「自由は死んだ。万雷の拍手の中で」というのは、まるで今の世界を予言しているかのようなすごい台詞だった。

 

でもここまではヒーロー、ヒロイン(シスは裏ヒーローだね)の視点から物語が描かれてきた。一方「ローグ・ワン」では普通の人の視点での戦争が描かれている。そこには戦争の不条理さ、理不尽さ、あくどさが満杯だ。

たとえばジェダ市街でソウ・ゲレーラの手下達が帝国軍を襲撃する場面。銃撃戦に巻き込まれ、親とはぐれた幼女が泣き叫びながら立ち尽くしていた。幼女はジンに助けられ事なきを得たが、そもそもエピソード1から7までで、一般市民が、対立する両側の戦闘に巻き込まれる描写は一切なかったわけで、かつてのボスニア・ヘルツェゴビナや、今のシリアの内戦はこんな感じなのだろうかと思いがふくらむ。

また、こんな場面も。アンドーなど反乱軍の現場の人が、「希望」の名の下に普段している仕事はスパイ、破壊行為、暗殺などの決して自慢できない仕事であって、後ろめたさに気持ちが蝕まれている事をジンに告白するのだ。いわばブラック企業で働いてるようなものなんだと。

そして何より象徴的な場面なのがこれ。デス・スター設計図データの受信完了直後、そのデス・スター実物が出現したため、反乱軍はスカリフからの撤退を決断する。このとき反乱軍のラダス提督は、スカリフ地上に生存者がいるのか確認しようともせず、「フォースと共にあらんことを」と言って速攻で退却してしまう。戦術的には正しい判断かもしれないが、「フォースと共にあらんことを」がまるで言い訳のように使われていて、虚しさ、悲しさ、むごさを感じさせる場面だ。

ジンは、最後の最後まで反乱軍に100%賛同していたわけではないだろう。それはアンドーも同じと思う。ジンは父の思いを叶えることが自己実現になると信じて行動したのだろうし、アンドーは反乱軍の中で喰って行くにはこうするしかない、っていう生き方に見えた。だからこそ彼は最後に自分を取り戻して、クレニックにとどめを刺そうとしたジンを制止したのだと思う。

「だってこれはスター・『ウォーズ』なんだろ? 戦争とはこういうものって事も忘れないでくれよ」というのが監督のメッセージなんだと思う。だから私には、副題の"A Star Wars Story"の不定冠詞"A"が重く響くんだよなあ。こんな話がごろごろあるんだよ、戦争には、ということだ。

 

もちろん、スター・ウォーズのファンには嬉しい小ネタもたくさん織り込まれている。青い牛乳、T-15、踊るトゥイレックのホログラム、そして"I have a bad feeling about this."などだ。

個人的にはアンドーが、角度によって羽生さん、またはマンチェスター・シティのシルバに似てるなあと思ったり(嫁は「吹越満に似てる」と主張)、IT業界人の視点で「帝国のデータセンターのハードディスクってRAID化してないのかよ。セキュリティ上だめだろう」「あれ、プログラム読むとカートリッジって書いてる。テープかよ!」とか「あの莫大な設計図データをICカード1枚に圧縮できるなんて、ITは反乱軍の方が進んでいるの?」なんてツッコミも入れながら見てたけど、一番「ぷふっ」ってなったのが、映画で最初に出てくるドロイド。あれ一瞬、映画泥棒に見えちゃってさあ。


...そしてエンディングに登場するレイア姫。あれを見て涙があふれだして、思わず合掌してしまいました。RIP.


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